REDS&日常とか〜赤くなったもん勝ち〜

DAZN通じての浦和レッズ(REDS)たまに家族日常ネタ徒然と

鼻吸いからこんな話がひっかかった

現代っ子の耐性と幼児期の子育て

 いじめやナイフによる刺傷事件など,子どもの問題行動が深刻化していますが,その大きな原因の一つとして耐性の未発達が考えられています.これは「放任・過干渉共存型過保護」とも呼ばれる幼児期の子育てに原因があるようです.例えば「決めてあることでも子どもが嫌がれば許してやることがあるか」という問いに対して,

低耐性児群の母親 高耐性児群の母親
よくある 5.2% 0%
ときどきある 63.2% 25.0%
ほとんどない 28.1% 59.0%
全くない 3.5% 15.9%



というように,子どもが自分ですべきことまで手を出し,何でも要求のままに応じ,叱るべきときに叱らず,我慢させるべきときにも我慢させないような子育てが,子どもの耐性の発達を妨げていると指摘しています.
 また,昔のガキ大将を中心とした遊び集団が昭和30〜40年代を境に崩壊し,遊びの中で耐性がつちかわれるという体験がなくなってきたという点も指摘されています.
 子どもは皆,心のたくましい子になろうとしていますが,その心が育つためには幼いときから豊かな愛情と同時に適度の挫折・困難体験や欠乏体験,欲求阻止の体験が必要なのです.
福岡教育大学横山正幸先生の講演−日本外来小児科学研究会,福岡,1998年8月−より)


自尊感情の高い子をどう育むか 1

『Stop・ザ・非行 ふくおか大会』では、
福岡県警察本部生活安全部少年課の近藤氏による基調報告の後、福岡教育大学名誉教授の横山 正幸先生による講演がありました。

横山 正幸先生は、発達心理学の第一人者として国内外を問わず活躍されておられます。
横山先生の講義を拝聴したいと、福岡教育大学を目指す学生も多いと聞いています。

私にとっても、横山先生のお話は3回目となりますが、いつも新鮮な気持ちで拝聴することができます。私も先生の話を楽しみにしている一人です。


そこで、横山先生が講演された内容を、レジメに沿って紹介したいと思います。

第2回Stop・ザ・非行 ふくおか大会講演資料(第一福祉大学人間社会福祉学部:横山 正幸)

テーマ:今問われる、大人のありかた −自尊感情の高い子をどう育むか−

1 自尊感情が低く、夢・志のない日本の子供たち

  子供は、大きな発達の可能性をもって生まれてきます。みな伸びようと、立派な大人になろうとしています。それを現実のものとするためには、自分に対して自信と誇りをもつことが大切です。この自信と誇りの感情を心理学では、『自尊感情』と呼びます。

  自尊感情は、自分の価値・能力・適性などの自己評価が肯定的であることを意味しています。言い換えれば、自分は良い面をもった、かけがえのない、大切な存在なんだという気持ちのことです。

  しかし、それは、うぬぼれや自己中心的な心とはまったく違います。自尊感情の高い子どもは何ごとにも興味や好奇心を持ち、意欲的で、自信をもっています。
  また、周囲の好ましくない仲間たちの言動に惑わされたり、誘惑に負けたりせず、誇りをもち自分を大切にした生き方ができます。他人をいたずらに傷つけたり、悲しませたりしません。非行に走り自分を粗末に扱うのではなく、むしろアンビシャスな子になるための最も重要な条件なのです。
◎ 「自分は何をやってもダメな人間だという感じが『よく』『時々』ある子」:小学6年生48.4%、中学2年生60.2%(福岡県青少年課)
◎ 同じ質問に対する中国(ウルムチ)の小学5,6年生:19.9%(グリシェン・アブリミティ他,2003)
◎ あなたは何をしてもダメな人間だと思うことはありますか」という質問に対して、「よくある」「時々ある」「たまにある」という子:小学6年生66.7%(宗像市教育委員会,2006)
◎ 「自分の良いところ」は「全然ない」「あまりない」という小中学生:26.0%(吉田達也,2002)
◎ 「自分の良くないところ」は「たくさんある」「少しある」という小中学生:47.0%
◎ 「私は自分を積極的に評価していると思う」という子(中学3年生):日本40.0%、スウェーデン83.2%、アメリカ77.9%、中国92.7%(河地和子,2003)
◎ 「私は人並みに能力がある」という中学生:日本15.6%、アメリカ56.5%、中国49.3%(日本青少年研究所,2002)
◎ 「私は他の人に劣らず価値のある人間である」という中学生:日本8.8%、アメリカ51.8%、中国49,3%(日本青少年研究所,2002)
● 何もしたくないと思うことが「よく」「時々ある」:小学5,6年生68.7%、中学生で76.8%(福岡県青少年課,2002)
● 生きているのがいやになると「よく」「時々」感じる:小学6年生40.0%、中学2年生51.9%(福岡県青少年課,2001)
● 将来の目標をはっきり決めている中学生:日本17.5%、アメリカ46.7%、中国32.6%、韓国25.5%(日本青少年研究所,2000)

日本の子どもたちの自尊感情が育っていないことは、このデータから見てもよくわかるでしょう。私は、横山先生の話を聞いて唖然としました。

次回は、このつづき
なぜ日本の子どもたちは自尊感情が低いのか、について載せたいと思います。


自尊感情の高い子をどう育むか 2


『Stop・ザ・非行 ふくおか大会』での、横山 正幸先生の講演の続きです。

第2回Stop・ザ・非行 ふくおか大会講演資料(第一福祉大学人間社会福祉学部:横山 正幸)


2 なぜ日本の子どもたちは自尊感情が低いのでしょうか

  それは、幼いときから体験すべきことをきちんと体験していないからです。言い換えれば、「子どもらしい生活」が保障されていないからです。

主な問題点としては、5つ挙げられます。

問題点その1:幼いときから生活リズムがおかしくなっています
その代表として、遅い就寝と睡眠時間の不足が挙げられます。
◎ 昔(昭和12年当時)の幼児の就寝時刻:3歳児7:47、4歳児7:53、5歳児8:03、6歳児8:16(山下俊郎,1937)
◎ 外国の幼児(3歳児)の就寝時間:スイス7:38、フランス8:00(神山潤,2004)
◎ 3歳未満児で22時以降に寝ている子:42.9%(福岡市主任保育士会,2003)
◎ 3歳未満児での睡眠時間:9時間以内63.0%、8時間以内:16.7%(福岡市主任保育士会,2003)
3歳児では11時間の睡眠が必要だと言われているそうです
◎ 小学5年生の就寝時刻:10時以降82.3%、11時以降38.2%(北九州市教育委員会,2000)
◎ 就寝時刻11時以降の中学2年生:77.0%(北九州市教育委員会,2000)
◎ 昔(昭和22年当時)の小学6年生の睡眠時間:10時間25分(京都大学文学部,1952)
◎ 睡眠6〜7時間以下の児童、生徒:小学6年生48.0%、中学2年生62.9%、
◎ 睡眠時間4〜5時間程度の中学2年生:11.9%(福岡県,2001)

その結果として、慢性的疲労感、食欲低下、朝気持ちよく起きれない、免疫力の低下、注意力や集中力の低下、イライラ、低体温、朝食抜き、排便ができない、といった数多くの問題が生じてきています。自分の生活を自分で律していないのですから、「大切な自分」という感覚は身についてこないでしょう。当然、学習にも影響が出てきます。
◎ 授業中眠くなることが「よく」「時々」ある子(小学5年生の場合):41.5%(福岡県,2004)



問題点その2:幼い頃から、時間を忘れ友達と外で夢中になって遊ぶと言う体験をほとんどしていません

遊びには次のような意義があるのです。
?? 楽しさを与えてくれる
?? 社会性、協調性、人間関係能力などを育む
?? 生きた知識や生活の知恵を育む
?? 体力、運動能力、器用さを育む
?? 自主性、耐性、創造性などを育む
?? 心の緊張を開放し、精神衛生をよくする

ところが、1960年頃から子ども社会は急速に崩壊してきました。(夢遊病の子どもたち、巣ごもりしている子どもたち)
● 戦前の小学生の知っていた遊びは4000種類。しかし、現在は約20種類です。
  「石蹴り」を知らない5,6年生:80%、「ゴム跳び」を知らない5,6年生:85%(ベネッセ教育研究所,1999)
● 放課後や休日によく遊ぶ場所として自分の家の中を挙げている子:小学5,6年生73.1%、中学生78.5%(福岡県2002)
● よくする遊びとしてテレビ、ビデオを挙げている子:中学2年生65.7%(福岡県2002)
● テレビを1日3時間以上見ている中学2年生:33.9%(北九州市立教育センター,2005)


その結果として、上述の??〜??が育たないばかりでなくストレスがたまり、精神衛生の非常に悪い状態になります。
また、遊びの中で困難にチャレンジし、それを乗り越えたり仲間から認められたりして子どもは自信を高めていきますが、それらがないということは自信が育まれないことになります。

次回は、問題点3〜5及び自尊感情が高く、夢・志を持った子にするためにはどうすればよいのかについて書きたいと思います。


まだまだ続きます。。。


自尊感情の高い子をどう育むか 3


横山 正幸先生の講演3回目です。

第2回Stop・ザ・非行 ふくおか大会講演資料(第一福祉大学人間社会福祉学部:横山 正幸)


問題点その3:お手伝い体験(勤労体験)、役割体験、ボランティア体験がほとんどありません

お手伝い、役割体験、ボランティア体験は、子どもが親が自分のためにしてくれていることの意味や生活の技能を知るために必要です。また、自分はかけがえのない家族の一員、社会の一員だという感覚と共に有能感や自尊感情を高めることにつながります。
◆ 掃除をいつも手伝う小中学生:日本9%、韓国24%、アメリカ43%、イギリス33%(文部省,2000)
◆ お使いをほとんどしたことのない子(小学4年〜中学2年生):65%(川村学園大 斉藤哲郎助教授らの調査,1995)
◆ 家の掃除の手伝いをほとんどしたことのない子(小学4年〜中学2年生):61%(川村学園大 斉藤哲郎助教授らの調査,1995)
◆ 昨日、何か家の手伝いをしたかという問いに対して、「全然しなかった」と答えた子(中学2年生):63.4%(北九州市教育委員会,2000)

その結果、生活技能が身につかないだけでなく、有能感や自己肯定感が育たないことにつながります。


問題点その4:コミュニケーション体験が不足しています

コミュニケーションには、心の緊張を開放し、精神衛生を良くする働きがあります。また、学力とも深く関わっています。
さらに、人間関係を豊かにするのもコミュニケーションです。
ところが、幼児の頃からコミュニケーション体験が少ないと、コミュニケーション能力が育たず、必要なときでも自分の考えや気持ちを表現したり、要求したり、質問することができません。文章力の欠如した単語人間や、face to faceでの会話ができない。
また、病院で、doctorから症状を聞かれても、自分自身で説明ができないなどが考えられます。(母親など一緒に通院した人が変わりに説明してしまうことにも問題があります)
これでは、子どもは自分に自信が持てなくなるのは当然でしょう。


問題点その5:ほめられること、認められることが少ない

日本の教育は、欠点を見つけて直させる教育です。ほめられ、認められることによって子どもは自尊感情、自己肯定感を高めていきます。
しかし、日本の親や教師などはほめることが下手。ほめるより注意や指示、命令が多い。そして、反省させ次につなげようとする。
それらは、マイナス自己像の形成を促進することになります。
◆ 「先生から注意されることが『よく』『時々』ある」という子(小学4年,6年、中学2年):74.1%(香蘭短大・九大調査,2001)



3 自尊感情が高く、夢・志をもった子にするにはどうしたらよいでしょうか

子どもたちの自尊感情を高めるのに特別な方法があるわけではありません。何気ない毎日の生活の積み重ねが大切なのです。
そのためには、次のことを家庭・地域・学校がしっかり連携して進めることが期待されます。

?? 寝るべき時間に眠り、起きるべき時間に自分で起きることのできる自律的な子にすること。
  そのためには、親はもちろんのこと、大人全員が早寝早起きの大切さ、十分睡眠をとることの大切さを認識し、実行することです。その例として、テレビ視聴、テレビゲームのコントロールはしたいものである。

?? 大人が、遊びの大切さをしっかり理解し、子どもたちの外での集団的、活動的な遊びを奨励すること。
 ・親や教師、地域の人々が、子どもたちの出会いの場であるアンビシャス広場のような居場所作りをすること。
 ・小学校では、子どもたちが昼休みに校庭で熱中して遊べる環境を作ること。
 ・子どもたちの遊びを活性化させるためには、遊びを教えるボランティア(プレーリーダー)の協力が期待されます。
 ・大人同士の積極的な交流も不可欠です。

中学生の遊びの実態は小学生以上に深刻ですが、中学生も時には時間を忘れて、地域の中で友人とスポーツや音楽などの語らいに没頭できる環境を作ってあげたいものです。
 ・大人が協力し、中学生向けの出会いの場(居場所)を作ってあげることが大切です。
 ・学校でも、スポーツだけでなく、音楽、美術、英会話、文芸など文化的な部活動を活性化することも期待したい。

?? 子どもたちに、家庭で、地域で、学校で、手伝い体験、役割体験、ボランティア体験をする機会を積極的に作ってやること。

?? 子どもの言葉を先取りしたり、代弁行動を控え、生活の中で子どもたちがコミュニケーションできる機会を与えるようにしましょう。
また、食事のときは、テレビのスイッチを切って、家族みんなで楽しい会話をするようにしましょう。

?? 親や教師、地域の大人たち皆が、子どもの良いところや伸びているところに目を向け、積極的にほめたり、認めたりしてやること。
そのために、子どもの良さや伸びに気づく感性が大切です。

これで、講演の内容は完結ですが、
横山先生のお話は、大人の私たちにとって頭の痛いところですが、将来を担っていく子どもをたくましく育てていかなければと思います。